都立第五福竜丸展示館
“Lucky Dragon”「ラッキードラゴン」…日本語にすると「幸福」な「竜」。
そう、第五福竜丸のことです。1954年3月1日、マーシャル諸島ビキニ環礁でアメリカが行った水爆実験により被ばくした遠洋マグロ漁船で、「死の灰」を浴びた乗組員23人は全員被ばくしました。このことをあらわした、アメリカの画家ベン・シャーンによる連作絵画の名前でもあります。そしてこの絵画集に言葉を付けて絵本として著されたのが今回の記念講演者、詩人のアーサー・ビナードさんです。絵本のタイトルは『ここが家だ』。独特な色使いの迫ってくる絵の力、そしてシンプルながら心に迫るアーサーさんの言葉。
戦後80年、だからではなく、人として、あのとき起こったことを知っておきたい。ヒロシマ・ナガサキだけでない、被ばくで苦しんだ第五福竜丸ほかの船員の方々。2週間かけて自力で日本まで航海して戻ってきた人々を待っていた病の苦しみと差別。船長の久保山愛吉さんが亡くなる前に残した有名な言葉。そしてあまり知られていない南太平洋の島々に暮らしていた人々の被曝の実態。生徒の引率で訪れたとき、知ってたつもりになっていた「核」の実態に、思わず自分を省みました。それらが本物の第五福竜丸の船体が展示されている前で考えさせられる希有な博物館です。東京湾にうち捨てられていた廃船寸前のこの船が、人々の心に訴える展示となるにいたった経緯も含め、ぜひ、子どもから大人まで、訪れ、知っていきたい場所だと思います。
休館日:月曜日
開館時間:9:30〜16:00
入館無料
アクセス:新木場駅(東京メトロ有楽町線、JR京葉線、りんかい線)下車、徒歩10分(情報詳細はVol.7をご覧ください。)
都立 第五福竜丸展示館 Official Site
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