第61回全国大会東京大会 現地だより 第2回

第2回教室は 認め合い 平和な世界を創る場所

福島悦子(ふくしま・えつこ 埼玉・新座市立第三中学校)

大会テーマはどのように決めた?

 東京大会のテーマはタイトルにもあるように,「教室は 認め合い 平和な世界を 創る場所」になりました。今回の大会はこれからの新英研のことも視野に入れ,今まで何度も全国大会を成功に導いてきたベテランの先生方に見守られながら,神奈川の萩原一郎先生を中心に,中堅(?)メンバーである東京の大越範子さん,高橋友紀子さん,渡辺美夏子さん,福島もアイディアを出させてもらっています。それぞれが忙しい日々の中,スローガンのアイディアを出し合ったのは,ある夏の出勤途中の電車内でのグループLINEでした。

大越:東京大会のスローガン,どうしましょう?
福島:今できる子と苦手な子の差がどんどん広がっているので,みんなで,だれもが,共生,という言葉を使うイメージです。
大越:デジタル教科書の普及でコーラスリーディングが消えつつあるけど,実はデジタルでないところに学び合う姿があったと感じるの。個別最適な学びって正解なのかな?
高橋:学力差が広がっていくのを私も感じていて,初めて少人数授業で基礎コースをやってみることにしました。教科書本文が難しいと,デジタル教科書の音声では声があまりでないので昔のように目の前の生徒に合わせたコーラスリーディングにしました。それから,隣の子に勉強を教えてくれている生徒が「教えることが楽しい! 説明していると理解が深まるんです!」と言ってくれて感激しました。
渡辺:平和という言葉をいれるなら,平和な教室よりも平和な世界がいいです。
高橋:私は,スローガンは,「教室は,」から始まるイメージができていて「教室は認め合い平和な世界を創る場所」はどうですか?
 ざっくり要約するとこんな感じでした。デジタル教科書やタブレットを使う授業にメリットはたくさんあります。ただ,その大前提として生徒と生徒,生徒と教師,お互いの顔や表情が見え,一人ひとり心から安心できる教室で学ぶからこそ,他者にも思いを馳せることができると思うのです。大会参加者の皆さんがこのような教室を作っていくパワーを得られる東京大会になるよう頑張っていきます!

講演者アーサー・ビナードさんとの打ち合わせ

 1月9日,池袋のイタリアン料理店でアーサーさんとの打ち合わせ。アーサーさんはとても話しやすい方でした。今の英語教育の悩みも聴いていただきました。アーサーさんが使う言葉は,どんな話題になっても,曖昧なところがなく鋭く的確です。短い時間でしたが,たくさんの金言をいただけました。一つだけ皆さんにも紹介を。私たちが授業でタブレットを使うことを推奨されている現状について話すと,アーサーさんは「それは英語を学んでいるとは言わない。ICT機器の使い方を学んでいるだけ。教師はテクノロジー業界の下請けになってはならない。先生の工夫がしにくい現場になっているのなら,教師は力を合わせて抵抗しなければならない」。どうですか?皆さん! 「そうそう! 今までうまく言語化できずにモヤモヤしていたけど,それが私たちの言いたかったこと!」と視界が開けたような感覚になりませんか?
 大会では初日の8月2日(土)13:30~15:00,たっぷり1時間30分アーサーさんの講演を聴くことができます。きっと皆さんもそんな瞬間が何度も味わえるはずです! 皆さんぜひ大会に参加して一緒にこの気持ちを味わいましょう!

『新英語教育』5月号より転載)