第61回全国大会東京大会 現地だより 第1回

第1回東京大会で豊かな実践交流を

萩原 一郎 (はぎわら・いちろう 神奈川・神奈川大学ほか)

 昨年8月に東松島市で行われた新英研の全国大会は感動的な集会となりました。数年間のオンライン大会を経て,久しぶりに対面(と一部オンライン)で開催された大会。コンピュータの画面上ではなく,実際にお会いして挨拶をしたり,懐かしく話をしたりすることの大切さを改めて実感させてくれました。今年の全国大会は東北からバトンを引き継ぎ,関東ブロックが企画運営をする東京大会となります。
 東京大会では事務局として東京を中心とした9名で組織し,大会の原案を練り,それを関東の各都県事務局からなる実行委員会で審議して大会の細部について決めています。すでに7回の実行委員会を行い,大会の核となることが固まってきました。今回はその中からいくつかを紹介していきます。

 東京大会は8月2日(土)・3日(日)の2日間,立正大学(東京都品川区大崎)を会場として行われます。大会のテーマは
「教室は 認め合い 平和な世界を創る場所
なります。最近の英語教育のキーワードの一つは「個別最適化」であり,音読練習は家庭でもできるとされ,授業中もデジタル教科書やタブレットを使用することが奨励されています。でも,みんなと毎日を過ごし,ともに成長していく,そうした場所が教室。あくまで先生と生徒,生徒同士が教室の中でお互いの存在を認め合い,生きたことばをかわし合うということを重点に考えていきたいという議論がありました。それを補完するものとしてICT や生成AI を必要な場面で利用するというイメージです。

 大会は基本的には対面形式で行い,講演や一部の分科会などについてはオンラインでも参加できるように検討中です。1日目の講演と校種別分科会,2日目の新英研分科会,教材展示・交流会,ポスターセッション,テーマ別分科会・ワークショップでは大会のテーマを教室場面に落とし込んだ実践報告や意見交換が行われることが期待されます。

 大会1日目に行われる講演は詩人・俳人,随筆家,翻訳家のアーサー・ビナードさんに引き受けていただくことができました。『アーサー・ビナード ラジオぽこりぽこり』(文化放送)のラジオパーソナリティをつとめられています。過去に2回全国大会で講演をお願いしたビナードさんですが,早速1月上旬に,事務局員5名でお会いして中高での英語教育の状況や大会の構想を直接お伝えしたうえでさまざまな意見交換を行うことができ,有益な機会となりました。

 さて,先ほど述べた事務局にはベテランだけではなく,中堅の方たちにも入っていただき,次世代への継承ということを意識して大会をつくっていきます。中堅の先生方は授業や部活動などの教育活動に大忙しですが,新英研としてやはり大切にしたいのはそうした現場の先生方が教室や学校で実感している現場感覚と生の声です。これから実行委員会の組織拡大を図る中で,意識的に若手や中堅の現場の先生方に声かけを行い,大会をサポートしていただくとともに,現場の状況に応じた実践を交流していきたいと考えています。さらに,今後の新英研の全国大会が持続可能なものになるように意識して大会を構想していきます。

 全国の会員の皆さんが多様な実践から学び,交流をし,9月からの教室実践に新たな気持ちで向かえるような充実したプログラムを構想中です。ぜひ,夏休みの予定に入れていただき,東京においでください。皆さんと直接交流し,新たなつながりが生まれることを楽しみにしています。

『新英語教育』4月号より転載)